こんにちは、最近は舞台も映像も、さまざまな方からお声がけいただき、大変光栄です。
性質上、あまり情報公開できるものがないのですが、一部、現場での私の様子のお写真を、俳優や監督すべての組の関係者の方から、許可をいただいたものに限り、Instagramに少しあげております。
なにか安心材料やイメージになりましたら、光栄です。
さて、本日は、ちょっと忘れがちになっている場合も多いシーンについてです、
インティマシー=性愛シーン?!それだけではありません
インティマシー・コーディネーター(ディレクター)という言葉を聞いたとき、多くの方がまず思い浮かべるのは性愛や親密な場面です。
映画や舞台で注目されるのが性表現であることが多く、「インティマシー=性愛シーン」と誤解されてきました。しかし実際の現場で必要とされるサポートは、それだけにとどまりません。
排泄に関連した部分や入浴の場面
たとえばトイレやお風呂のシーン。日常的な行為のように見えますが、俳優にとっては身体の露出や実際のうごきや音声効果も求められるため、大きな負担を伴います。「日常よくあるよね、だから大丈夫」と思われがちな方もいらっしゃいますが、準備なしに進めると不安やストレスが残る危険があります。
頭ではみなさまご理解いただいておりますが、日常で、プライベートで行うのと、不特定多数を相手に「物語」の文脈で、「役」として行うのとは、まったく違うのだと腹落ちしたいご時世でございます。
授乳や出産の場面
授乳や出産もまた、性表現とは違うものの、非常に繊細で慎重な準備が必要な場面です。
「気にならない」とおっしゃる方もいるのですが、それが、どういった背景からの発言かは、なかなか検証しにくいものです。
身体的な露出に加えて、人生の大切な瞬間を演じること自体が大きな心理的負担となります。痛みの表現だけでなく、繰り返しのリハーサルや公演、撮影も、軽視されれば、俳優に深い不安や傷を残してしまうこともあります。
さらに、前後の着替えや目隠しも、具体的に用意をして、事前にはっきりと「文章で」共有しておきたいものだと、毎月実感しております。
誰しも、思い違いやうっかりがありますので….
怪我や治療の場面
怪我や病気の描写もインティマシーの対象になります。治療中に衣服を脱ぐ、身体の一部を見せるといった演技は、俳優にとっては大きなプレッシャーです。リアリティを求めるほど、安全な準備と段取りが欠かせません。
ジャンルを問わず、上半身ならOK、背面なら事前に聞かなくてもいいや、というような推測は危険です。
専門的な準備の重要性
こうしたシーンは「忘れがち」であるがゆえに、準備が後回しにされることも少なくありません。けれども、安心できる準備が整っているからこそ、俳優も演出も表現に集中でき、作品のリアリティも高まります。
感動的なシーンであっても、ホラーであっても、コメディーでも、事前に演出の効果や欲しいイメージを「言語化」して、整理しておくことで、スタッフも演じ手も、ワンクッション、落ち着けることが多いです。
安心と表現力を両立させるために
インティマシー・コーディネーター(ディレクター)は、演出意図を尊重しつつ、俳優が安心して取り組める環境を整える専門家です。
決して、アクション監督やダンスの振付家が、演技や歌唱を邪魔しないのと同じく、うごきを整理し、演出や演技をより効果的にするサポートをするのです。
ここ、なぜか誤解されがちなので、すこしずつでも、お伝えする努力を続けていきたいと思います。
性愛表現に限らず、排泄関連や入浴、授乳や出産、怪我や治療など、見落とされがちな場面にこそ、その役割が活きてきます。
次の作品でこうしたシーンを扱う際には、ぜひ安心とチャレンジの準備をより整えてみませんか。
全体の様子もご参考になりましたら、幸いです。
インティマシー・コーディネーター(ディレクター)とは?現場で安心と演出を両立させる第三者の役割
PR TIMESにも記事を掲載しました。