2025年 “導入すべき時期”が来ている─世界ではすでに「当たり前」の現場体制へ
インティマシー・コーディネーターが求められる映画やテレビ制作の現場では、コンタクトや親密な描写を伴う演出が年々多様化・複雑化しています。プラットフォームのいかんにかかわらず、現代では「誰かの感覚に頼る」やり方やなんとなくやってきた従来の慣例から、多様性を前提にした現場づくりへと、価値観が確実にシフトしています。
アメリカやカナダでは、学生映画や短編作品でもインティマシー・コーディネーターの導入は標準化されています。ミュージカル作品、小規模な映画に関しても同じくです。一方、韓国では、ハラスメント対策に関しては大きなムーヴメントが起きましたが、現在も正式なIC導入例は限られており、国際的に認められた研修を受けた専門家もいません。
だからこそ、グローバル水準の制作体制を整えたい方には、ぜひ私にご相談いただきたいと考えています。
プロの現場がこうした体制を整えることで、学生や若手俳優たちにもよい影響が波及します。
「これは特別なことではなく、作品づくりの一部なんだ」という認識が広がっていくはずです。
▶ 舞台での導入事例についてはこちらの記事をご覧ください
https://intimacydirector.jp/intimacy-theatre-repeatability/
インティマシー・コーディネーターとは? 演出の狙いを形にする“創造的な専門家”
ICの本質的な役割は、演出の意図と「見えるように動きとして整理する」ことにあります。
ケンカのシーンでの、アクション監督の仕事と同様に、台本を読み、演出を組み、俳優や監督、スタッフさんとも必要なことを相談しながら、シーンを組み立てていきます。
・台本を読み解いて演出家の狙いや構造を汲み取る
・撮影構成に合わせて、繰り返し可能な動きや段取りを整理する=振付
・撮影当日は、タイミングや視線、動作の微調整で現場を整える=必要に応じて「前貼り」なども
・ご希望や必要に応じて、演出部・キャスト・スタッフ間の言語的なすり合わせを担う=よりスムーズなコミュニケーションのためにも、事前のヒアリングをお勧めしています。
性的な描写だけではありません──“親密さ”はもっと多様な演出に関係しています
インティマシー・コーディネーターが必要なのは、いわゆるキスシーンや濡れ場だけではありません。
・出産シーン:身体の扱いや呼吸の再現、俳優の快適さと集中をサポートします
・放尿や排泄を示唆する描写:衛生問題、前貼り処理、よりリアリティーを出すための動きの調節
・医療・看護・暴力・死体確認など身体に触れる演出:俳優もスタッフも専門に集中するための整理
・性的な意味を持たない身体の露出(背面ヌードなど):我慢や忍耐を強制しない運営ができないかを探します
・演じ手だけでなくスタッフによる「見ない権利」や集中の質を守る配慮:多様な感じ方を尊重し、振り付けによって、また事前の段取りによって解決できることを工夫していきます。
俳優の身体的・心理的な負担を減らすだけでなく、スタッフの集中力や、全体の効率的な現場運営にもつながります。
「配慮」ではなく「準備」です──整った現場だからこそ強い表現が生まれる
「配慮しすぎると演出が弱くなる」という声もありますが、そもそも“配慮”という考え方そのものが本質からずれています。必要なのは気遣いではなく、段取りです。
いくら善意に満ちていても、気持ちだけでは、プライベートな身体の部位を隠すことはできず、またタイミングよく手をどこに置いたら良いか、足をどこに着いたら危なくないか、といった振付はできません。
ケンカやダンスのシーンのように、ある程度枠組みを決め、場合によっては、手足の幅や距離を「振付」しておくことで、繰り返しやすく、覚えやすく、整えていきます。
「緊張するし、他にも気になることがあって、キスシーンの動きが覚えられない」
「相手が本当は嫌じゃないか、心配になってしまう」
「先輩なのに、これが苦手とか、あれが嫌だとか、言い出しにくい…」
「大事なシーンな事はわかるけれど、膝立ちが辛い」
とモヤモヤはつきません。だからこそ、私のような専門家が、一緒に台本を読みながら、監督の方向性を鑑みつつ、「実際の俳優の身体でできる効果を生む動き」をご提案しながら、サポートします。
・言葉でやり取りし
・動きを構造として整理し
・再現可能な形で共有する
これは、いわゆるファイトシーンにファイト・ディレクターが入ることや、時代劇で殺陣師が関わる構造とまったく同じです。
動きの整理が入ることで、シーンが締まり、作品のトーンが明確になります。
アクションの先生が入ったからこそ、抜群にかっこいいと大評判になった映画、みなさんもたくさん思い浮かぶと思います。
私が提供できること
・台本の読み込みと演出意図の共有(オンライン対応可)
・繰り返し可能な動きの設計と振付ー必要に応じて複数のご提案
・リハーサルおよび撮影の同行とサポート(前貼りなど含む)、その他、同意の確認、進行補助ー監督だけでなく、演じ手の方との個別ヒアリング
・監督・演出部・キャスト・エージェントとのすり合わせ
・日英バイリンガル対応(英語でのやりとりも可能)
私について(略歴ダイジェスト)
イギリスの大学・大学院・演劇学校をすべて正規修了し、演技・演出・ムーヴメントに関する専門的な教育を受けてきました。インティマシー・ディレクター(コーディネーター)としての訓練は2年半の講座の後、ニューヨークでIDC(Intimacy Directors and Coordinators)による実地での研修を修了しています。
また、俳優・歌手・ダンサーなどプロの表現者たちに20年以上にわたり、台本読解・演技・身体表現の指導を行ってきました。
特に演出家の「狙い」や「欲しい絵」、「想起させたいイメージ」や脚本の意図、シンボルやメタファーを言語化し、俳優の演技として構築することを得意としています。
自身も小学生の頃から芸能事務所に所属し、俳優トレーニングを受け、それこそオーディションや舞台で恥を書いた経験もあるからこそ、「(疲れているのに)無理して頑張ってしまう」、「セリフが気になって集中できない」、「後から飛び付かれて怖かった」などのリアルな感覚にも共感し、対応できます。
まとめ :プロの準備が、自由な表現を支える
インティマシー・コーディネーターは、「問題を防ぐため」だけではなく、演出と演技のあいだを整え、現場をスムーズに進める動きの専門家です。
挑戦的な演出や、デリケートな関係性を含むシーンこそ、専門家によって準備された体制によって、自由で的確な表現が可能になります。
準備が言語化されていて、お互い同意がしっかり取れているからこそ、思い切ってチャレンジできると言う方も多いです。
舞台でファイトディレクターや殺陣の先生が入ると、シーンが引き締まり、全体が“作品として成立”するように、インティマシーの場面もまた、「動きの整理」と「演出意図の可視化」によって、作品の完成度が大きく変わります。
まとめ:必要なときに、すぐご相談ください
すべての公演に、すべてのシーンにインティマシーコーディネーターが必要なわけではありません。
でも、肌の露出がある、キスシーンがある、ハグがあるけれど、なんとなく慣れていない、もしかしたら不快な人がいるかも、そんな時、すぐお声掛けください。
昔で言う濡れ場や絡みはもちろんのこと、もし「このままじゃ少し不安かも」、「本人達は口ではいいと言ってるけど、何か気になる」「一度、整理しておきたい」という瞬間があれば、ご相談ください。
今まで問題がなかったから、前にも作品でやったことがあるからと、放置しておくと、うっかり事故につながったり、あらぬ誤解を招くことも少なくありません。
特に、新しい作品で、また演出の幅が広く、いろいろなアイデアを出している時、
こんな時、一緒に初めから立ち上げていけると、ダンスやアクションのシーンのように、より効果的、かつ狙ったイメージや想起させたい動きを提案していくことができます。
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センシティブな内容や撮影現場における“振付と動きの整理”については、こちらの記事もご覧ください。
舞台や映像の現場でどんなふうに活かされているのか。
その経緯について、PR TIMESのストーリーでもご紹介いただきました。
ニューヨークでの実地研修で得た学びと俳優視点の再発見。振付と演技の新たな挑戦についても振り返りました。演じ手もスタッフもが仕事に没頭できる環境を整える仕事が、演技指導の生徒さんである歌手や俳優の方だけでなく、スタッフの方にもお役に立てればと願っています。
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