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演出を立て、演技を支える” もうひとつの専門職─インティマシー・コーディネーター(ディレクター)とは?

インティマシーコーディネーターとは、演技における身体的接触や親密な関係性を安全かつ明確に整理し、演出と俳優の橋渡しをする専門職です。

この記事では、インティマシーコーディネーターの役割と導入による現場の変化についてご紹介します。

■ 現場で「どうすればいいんだろう?」が生まれる瞬間─インティマシーコーディネーターが注目されるのは、まさにそんな時です。

演技がうまく進んでいる時でも、現場にはふと迷いが生まれる瞬間があります。悪意があるわけでもなく、ただなんとなくモヤモヤ…

ある意味、俳優も演出家も、みんなが真剣に作品に向き合っているからこそ起きる、静かなズレや違和感…。
これは、舞台が多い方でも、映像の作品が多い方でも、似ているのではないでしょうか?

たとえば、ちょっと後ろから肩に触れるだけのシーン。特別な描写ではないはずなのに、なぜか進めにくい。よくある、ちょっと日本人にはなじみのないハグやキスなども、似たような違和感がありませんか?

俳優は「なんとなく」演じることになり、演出家も「なんとなく」調整する。そこに“意味への納得”や“欲しい効果とうごきの整理”がないと、現場の空気が重たくなり、表現にも迷いが生まれます。でも、誰が悪いわけではない。

ただ、そこに“通訳”がいないだけ─。
それが、私、インティマシーコーディネーター(ディレクター)の出番です。

■ インティマシーコーディネーターが演技・演出・身体をつなぐ

私は、演技の世界に40年、さらにプロの俳優や歌手の演技指導者として20年以上、そしてムーヴメントの専門家として、物語と身体、コミュニケーションの関係を様々なお稽古場やリハーサル、現場で見続けてきました。

俳優の「もっとちゃんと演じたい」そして何より「も良い作品にしたい、そのためにも期待に応えないと!」という真面目で切なる気持ちと、

監督や演出家の「なんかもうちょっと面白くしてほしい」とか「せっかくやるなら挑戦したい」というビジョン。場合によっては「ちょっと違うんだよな….」に代表されるような情熱や悩み

その間にある見えない壁やどうしても発生してしまうモヤモヤを、言語化し、動きにし、繰り返せる形にするのが私の仕事です。

特に、俳優の身体と感情がことさら目立つシーン─触れる、近づく、見つめる、離れる。親しい間柄であっても、どうしても固有の感覚や個別の事情がありますから、ともすると、疑心暗鬼にもなります。


しかし、これらのモヤモヤは「振付」として整理されることで、俳優や歌手は安心して演技に集中でき、監督や演出家は意図をより明確に伝えられるようになります。

それは決して“演出を奪う”ことではなく、“演出を立てる”ための協働です。

■ これまで鍛えてきた「演技を助ける」動きの整理力をインティマシーシーンにも


ムーヴメントの専門家として、私は長年、動きと意味の関係性に向き合ってきました。演技には、“行動という動き”と“物語の仕組みが機能する構造”の両方が必要です。どちらが欠けても、観る人にはなかなか思うように届きません。

私はこれまで、映画スクールや舞台表現や演劇の実技のある大学・ミュージカル劇団・芸能事務所などで、実演家および俳優や歌手の育成やプロのトレーニングを担ってきました。また俳優や歌手の方のアクティング・コーチとしても、個人レッスンや少人数でのグループクラスを中心に、幅広いジャンルのテレビや絵画、舞台作品にも向き合ってきました。その中で、俳優や歌手の方のなかなか人前では意思表明しづらいお悩みや不安、演出家や監督の莫大なプレッシャーやご負担も目の当たりにしてきました。
だからこそ、ただ「安全に」ではなく、「表現として効果があり」、「想像力や五感を想起させる意味のあるものとして」動きを整えて、振付を提案しながら、調節していく視点があると自負しています。

■インティマシーコーディネーターは演出の効果と演技の味方


インティマシーコーディネーター(ディレクター)が入ると、演出や演技に制限がかかるのでは─と不安を感じる方もいるかもしれません。

でも、実際はその逆です。

演出家や監督の意図を丁寧に読み取り、その時の俳優に伝わりやすい、無理のない言葉と動きを提案していく。監督や演出家が本当に描きたい内容を、明確なかたちにするためのサポートであり“振付家”です。

「もっと自然に」「その瞬間にグッと」など、抽象的な指示も、動きや呼吸で再現可能な演技に変えていく。

ダンスやアクションと同じように、「見えて・聞こえて・繰り返せるようにする」ここから信頼感が生まれます。

だからこそ、演出家や監督にとっては“意思疎通の補強”になり、効果が引き出せます。そして俳優にとっては“具現化するための道筋”になる。このポジションが現場にもたらすのは、制限ではなく、余白と信頼です。


■ インティマシーコーディネーター(ディレクター)として私が「実地研修」を選んだ理由


私が認定を受けたのは、アメリカに拠点を置く、世界最大のインティマシーコーディネーターとディレクター養成の専門団体IDCです。2年のオンラインでの準備期間の講座受講を経て、試験と面談の後、世界中から集ったクラスメイト数十人と一緒に、対面での数ヶ月かけての研修に進みました。

IDCでの訓練は、オンラインでは完結しません。現地で、作家・演出家・俳優・ファイトディレクター、スタッフらと実際に振付と調整の実践を繰り返しながら、現場力を鍛える“体験型”トレーニングです。

──たとえば、脚本の中で感情的な緊張が高まる場面をどう動きにするか。
──あるいは、同意があるペア間の性愛シーンとそうではない場面をどう振付ていくか…

その一つひとつを、その場で、実際にやってみて、修正して、もう一度組み直す。さらに既に業界で10年以上、20年以上活躍しているインティマシーコーディネーター(ディレクター)でもあり、演出家や俳優、ファイトディレクターとしての活躍もあるエキスパートたちから、フィードバックを受け、ときには全員でディスカッションしながら、自分のあり方から見直す。

そのプロセスにこそ、インティマシーコーディネーター(ディレクター)としての“現場対応力”があります。

このプロセスを経てきた人間として、日本ではまだ数少ない「実地対応が可能な専門職」として、自信を持って現場に入っています。


■ どんな現場に求められるか?


・身体的接触を伴う表現(ハグ/キス/ベッド/介助/暴力/出産など)

・恋愛/支配/依存/嫉妬など、心理的に近づきすぎる関係性の描写

・若手俳優や学生が多く出演する舞台や映像のリハーサルや現場(教育的配慮から)

・男女比/世代/経験にバラつきがあるカンパニー(意思疎通のツールとして、また実際の振付とセットも可)

・初演/試演会/ワークインプログレスなど、演出が揺れる創作過程の場(特に、目的の設定や方法に幅がある場合、またスムーズなコミュニケーションの助けとしても)

これらはすべて「明確な振付」と「専門家によるうごきの整理」があることで、俳優の演技が強く、繊細に立ち上がる場面でもあり、演出の意図や作品の構造も際立ちます。

その効果は、殺陣やダンスシーン、衣装や音響と同じようにイメージしてもらって間違いがありません。

■ 誰の味方でもあり、邪魔にもならないー専門家サポートとして


私は、何かを制限するために現場に入るのではありません。
・俳優がより演じやすくなること、1人で悩まなくなること。

・「うっかり」を減らすことで、コミュニケーションが明瞭になること。

・演出家がより正確に意図を伝えられること、その結果、限られた時間内に効果が引き出せるようになること。

・スタッフがよりスムーズに調整できること、自分の専門に集中できるようになること….

どれもが、作品を限られた時間内に、誠実に立ち上げるための要素です。

現場で見えてきたこと、演技指導の中で積み上げてきた経験、教育現場で感じてきた難しいけれど、逃げてはいけない瞬間。

それらすべてを、私はこの仕事に総動員しております。

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https://intimacydirector.jp/

制作演出/監督/俳優/スタッフやマネージャーの方でも「一度話を聞いてみたい」と思った方は、遠慮なくご相談ください。

▶ 現場に必要かどうかご相談だけでも可能です。
▶ 大学/芸術系専門学校/劇団や養成所、また研修所などの教育現場、実習公演、卒業公演などのサポート案件も歓迎しております。映画監督や演出家の方との共同プロジェクトやワークショップ企画もご相談ください。

▶ ミュージカルやオペラ、演劇公演、年内の企画がある方は、お早めにご相談ください。

「この人なら、信頼できそうだ」
──そう思っていただけるきっかけになれば幸いです。

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ご一緒に最適な形を見つけていければと思います。

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◾️PR TIMES 掲載記事ー「適当にやってみて」を超えて

日本のプロが輝くために、親密シーンに求められる新時代の専門的視点

https://prtimes.jp/story/detail/rNLGaWCGj9B



Kaoru Kuwata

演技指導歴20年以上。ムーヴメント専門家・アレクサンダー・テクニーク指導者としても、プロの俳優や歌手、ダンサーの身体表現を幅広くサポート。 現在は、ニューヨークでの実地研修を経て、IDC認定インティマシー・コーディネーター(ディレクター)としても活動中。 舞台・映像・教育現場など、多様な現場における“演出の意図”と“俳優の安心”を両立するため、動きの整理と振付を通して現場を支えています。 ブログでは導入事例や現場での変化も発信中です。 映画監督・演出家・俳優の皆様に向けたお役立ち情報をシェアしています。現場に必要かどうか、まずはご相談ください。